ohinanikki

音楽・本について、色々。

Hallelujah - Leonard Cohen / Jeff Buckley

この世界には 隠されたコードがあるらしい
ダビデが弾いて、主を喜ばせたという
でも君は 音楽なんて好きじゃないだろ?
それはこんなふうに 4thから5thへ
マイナーへ落下し メジャーへと高揚する
困惑した王が作曲した“ハレルヤ”

ハレルヤ、ハレルヤ・・・

あなたの信仰は強かったけれど、
あなたは「証」を求めた
屋根の上で 沐浴する彼女を 見つけて
彼女の美しさと 月の光に 打ちのめされた
彼女は あなたを 台所の椅子に縛り付け
あなたの王座を壊し あなたの髪を切った
そして あなたの唇から
“ハレルヤ”を 引き出した

ハレルヤ、ハレルヤ

愛しい君、僕は昔 ここにいた
この部屋を見ていて
この床を歩いていた
君も知っているように、
君を知る前は 一人で生きていた

そして大理石のアーチの上で
君の旗を 見たのだ
今 愛は 勝利の行進ではなくなり
それはただ、冷たく壊された“ハレルヤ”に

ハレルヤ、ハレルヤ

いつか 君が僕に
教えてくれたことがあったね
水面下でうごめく 本当のことを
けれど 今はそれも見せなくなった
僕が 君の中で
揺れていた時を 忘れないで
その時 聖なる鳩も羽ばたいて
僕たちの 呼吸の全てが
“ハレルヤ”だった

ハレルヤ、ハレルヤ

おそらく 神は天にいるのだろう
けれど 僕が 愛から学んだ全ては
どうやって 相手を出し抜いて
先に撃ち壊すか、ということ
君が夜に聞いたのは 泣き声ではない
光を見つけた者の声でもない
それは冷たく壊された“ハレルヤ”、だ

ハレルヤ、ハレルヤ

Lilac Wine - Nina Simone

冷たく湿った夜 自分を見失った
朧げな光の中で 再び見つけ出した
奇妙な悦びに 導かれたのだ
ライラックの木の下で

ライラックの木から ワインを作った
その手順の一つ一つに 心を込めて
私の見たいものを 見せてくれて
私は なりたいものに なれた

ただ もの思う以上に 思い詰めている時
してはならないことを してしまう
思ったよりもずっと 飲み過ぎてしまった
そうすれば ここに あなたが戻って来るから

ライラックワインは 甘く酔わせる
私の恋人のように
ライラックワインは 私を不安にさせる
私の恋人のようだ

聴いて、私にはよく見えない
彼が今 ここに 来ているのだろうか

ライラックワインは 甘く酔わせる
私の恋人はどこ
ライラックワイン、私は不安でたまらない
私の愛はどこにある?

聴いて、なぜ全てが ぼやけているのだろう
あれは 彼なのか、それともただ
私が狂っているのか、愛しいひと

ライラックワイン、
どうやら 私はまだ
愛を 躊躇っているよう
未だに 愛することを
躊躇っているみたいだ

温い水

開かれた扉に
なぜか ふと振り向いた
読みかけの本から
眼が 離れていった

特別なしるしだから
特別でいようと決めた

足枷は 砂糖細工
温い水 溶かしていく
今はただ 西日の下
反射して 煌めくだけ

水に映る 夢のよう
あなたの瞳は
瞬く火を 湛え
静かに やり過ごして

揺れてる そのくせ毛に
似合う人になろうと思った

目が合うと 遠くで
水晶のぶつかる音
砦が そのたび
形を 変えていく

足枷は 砂糖細工
温い水 溶かしていく
今はただ 西日の下
反射して 煌めくだけ

水輪

みずわの 銀色光る
夜を ながめた
透明が 闇と 綾なす

灯台が 照らし始めた
こんなにも 歩いたことを

今 魔法の中を 通り抜けていく
今まであったこと 忘れてしまいたい

静かの海の上を 真似た アスファルト
月に星が 降りしきる 

灯台が 照らし始めた
こんなにも 歩いたことを

今 魔法の中を 通り抜けていく
今から起きること 忘れないでいたい

みずわの 銀色光る
夜を なだめて
透明が 闇と 綾なす

桟橋 Pt.Ⅱ

冬の朝明け 引き潮 煙って
漂泊の果てで 薄らいでゆく船
ひとけない 桟橋の上から 見てた
越境の時は いつも誰もいない

恋人よ 何一つも
気にしないで
この世界には 二人だけだと
気が付いて

瞬く隔たり 揺らぐ領国
暗転の瞬間は 橋が架かる合図
声になったことのない 言葉を
言いかける時を
あなたと生きていく

恋人よ 橋の上では
振り向かないで
この世界が 始まる時は
今、だから

果たされる 果ての
行き止まり
あなたは 私じゃない
だから、触れられる

恋人よ 何一つも
気にしないで
この世界には 二人だけだと
気が付いて

恋人よ 橋の上では
振り向かないで
この世界が 始まる時は
今、だから

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→Pt. Ⅰ(2014)